特集記事抜粋
 

VOL.17 −吉野川の支流を訪ねて−(2004年 夏号)
●特集/吉野川の支流を訪ねて「祖谷川紀行」
●この人と吉野川
●夏〜秋のおでかけ・イベント情報
●滝めぐり
●YOSHINOGAWA NEWS
特集/吉野川の支流を訪ねて「祖谷川紀行」
吉野川には三五六本の支流があります
その中で、最大の流域面積を誇るのが祖谷川。
吉野川と出合う祖谷口から
水音を追いかけて祖谷川をさかのぼりました

 祖谷川は、西日本第二の高峰・剣山の西斜面を源に、延長53・8?、流域面積約370?と、吉野川水系で最大規模の支流です。中津山、国見山など剣山系の1400m級の山を削りながら流れ、「祖谷渓」と呼ばれる県下屈指の大渓谷を形づくっています。
 祖谷口橋から道32号へ。右手に祖谷川の流れ、左手に山に貼り付くように立つ集落を見ながら上流へ。雨の後ということもあったのでしょう。左手の山肌から水が幾重にも細い流れを作ってしみ出しています。次々と現れる大小の滝。渓谷は深さを増しているはずなのに、瀬音はますます大きく、そして、頭上からは水音が降ってきます。
 40分ほどで、一番険しいといわれる「七曲」の断崖に到着。その昔、旅人達がこの断崖から用を足して度胸試しをしたというエピソードから、ここには小便小僧が立っています。
 七曲を越えると日本三大秘境のひとつ、祖谷地方へ。800余年前、落ち延びてきた平家の公達らが隠れ住んだといわれるこの地には、多くの伝説や史跡が残っています。なかでも有名なのが祖谷のかずら橋。山に自生するシラクチカズラを編んだ吊り橋で、追手が迫ると切り落して追手を絶つことができるように考案されたと伝えられます。
 かずら橋付近には、飲食店やみやげ店も多く、特産のそばを使った祖谷そばや、祖谷独特の固いこんにゃくや豆腐の田楽「でこまわし」などの郷土料理を味わえます。この地方には水道がほとんど整備されておらず、人々は岩の間から噴き出す水をホースでひいたり、地下水をポンプアップして使っているとか。なるほど、道中、大小の谷や滝に、必ずといっていいほど黒いホースが設置されていたのですが、あれは自家水道だったのです!
 「祖谷美人食堂」の滝本芳男さんは「町の水はよう飲まん」と笑い、「山の湧水でつくったかき氷を食べていきな」と勧めてくれました。お冷やももちろん湧水。ほどよく冷えたその水は舌にまろやかで、ほのかに甘い味がしました。
 かずら橋を後にし、祖谷川上流の東祖谷山村へ。東祖谷山村には江戸時代の民家や武家屋敷が残っています。そのうちのひとつ、喜多家の傍らに平国盛手植えの大杉があると聞いて、訪ねてみました。
 村を見下ろす斜面、平国盛が鉾を納めたという神社の境内に、大杉はそびえていました。苔蒸した木肌、そして大杉を囲むように広がる巨木の林、みずみずしい緑  滝本さんの言葉を思い出しました。
「山が深いけん水は豊富じゃ」。
 三嶺、塔ノ丸…と有名な剣山系の山並みを見上げながら更に奥へ。ひときわ谷が深くなり、雲をつく剣山が見え始めると、祖谷川53・8?をたどる旅もいよいよ終わりです。
 帰路についてもしばらくは、耳の中に水音が鳴っていました。美しい音楽のような水音が……。

交通/徳島駅からJR徳島線特急で阿波池田駅まで1時間10分。
JR池田駅から四国交通バスかずら橋・久保行きでかずら橋まで1時間10分。車/徳島自動車道井川池田ICから祖谷渓まで約36km。
問合せ/●池田町商工観光課 TEL0883-72-7620
    ●西祖谷山村観光課 TEL0883-87-2275
    ●東祖谷山村産業観光課 TEL0883-88-2893
この人と吉野川 −オープンエアー理事長 竹内範善さん−
吉野川でカヌー教室やツーリングなどを通じて、障害者と健常者の交流に取り組む「オープンエアー」の竹内範善さんを訪ねました。
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