特集記事抜粋
 

Vol.24 −特集「吉野川の渡し」−(2006-2007年 冬号)
【CONTENTS】
特集 「吉野川の渡し」
Sketch of Yoshino River・・・ 板野町
この人と吉野川・・・ 吉野川源水をはぐくむ会 浜口 圭章さん ほか

特集 「吉野川の渡し」

「おはようございます」
「おはよう、今日遅いな」
白い息をはきながら自転車を漕いで来た学生達が船員さんと挨拶を交わして船に乗り込む。ここは長原渡し。吉野川流域に唯一残る渡し場だ。今切川をはさんで松茂町と川内町を結ぶこの渡しは年間約9千人が利用する「県道」なのだ。かつて吉野川流域に117カ所もあったという渡し。川と人々の暮らしが結びついていた時代の光景をここに見ることができる。(写真/板野郡松茂町の県営長原渡船場)
特集 「吉野川の渡し」
この人と吉野川 その17「吉野川源水をはぐくむ会事務局長  浜口 圭章(はまぐち よしあき)さん」
藍より青き吉野川を生み出す源流の森を
上下流の交流を通じて守りたい


 「藍より青き吉野川」・・・浜口圭章さんからいただいた名刺に、藍色で印刷された文字。これが「吉野川源水をはぐくむ会」(三井宏会長)のキャッチフレーズです。
 吉野川源流のある嶺北地域は、過疎化、高齢化による林業の衰退という問題を抱えています。これは決して嶺北地域だけの問題ではありません。吉野川の美しい水は、源流域の豊かな森林によって支えら
れているからです。「吉野川源水をはぐくむ会」は、美しい水を流してくれる源流域の人達に感謝の気持ちを表すとともに、源水をはぐくむひとつの力になれればと、平成6年(1994)8月に結成されました。200名以上の会員から寄せられた会費は、森林保全などに役立ててもらおうと、全額、嶺北広域行政組合に寄贈しています。
 数年前のことです。嶺北からやって来た子ども達が「吉野川の河口って汚いな」「ゴミが多い」と言うのを聞いて、少なからずショックを受けました。それがきっかけとなってアドプト・プログラム吉野川に参加。また、平成14年(2002)には初の源流探訪ツアーを実施しました。沢づたいに1時間半も歩いて辿り着いた源流点は美しく、「ああ、なるほど、ここから水が生まれて来よるんか」と実感したそうです。これまでに3回実施。1泊して、地元の人々と交流するのも大事な目的です。
 年に一度は早明浦ダム湖畔の「命の森」に出向き、地元の人達と下草刈りや植樹に汗を流します。「慣れない作業で実際どれだけ役に立ってるか(笑)。でも、資金を贈ったり、いっしょに作業をすることで、上流の人は、下流から上流に目を向けてくれているという意識を持ってくれる」と浜口さん。そこから「美しい水を流さなければ」という思いも生まれてくる、と。
 最近では那賀川流域の団体との交流も始まり、浜口さんは事務局長としてますます充実した日々を送っています。

吉野川源水をはぐくむ会(事務局)
〒770-0925 徳島市弓町3-9-3 TEL:088-625-7626

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