特集記事抜粋
 

VOL.6 特集−麺−(平成12年7月発行)
■ 特集−麺−
麺喰いな人々
 半田そうめん
 徳島中華そば
 御所たらいどん
・美味しい話
  祖谷そば出張サービス
  シンビジウムが麺になった!?
  1日たらふくたらいうどん
  流しそうめんでギネスに挑戦!
  半田川のほとりのそうめん

■ 夏だ!! 吉野川の河童大集合
■ 2000年夏イベントガイド
暮らしの中の湧水
・吉野川水系の湧水

■ 新年度総会のご報告
■ アドプト・プログラム吉野川特別 協力企業など
■ YOSHINOGAWA NEWS
・「アドプト・プログラム全国大会」、徳島で開催
・リバーキーパーズになって吉野川に恩返し
麺喰いな人々
県外の人が、あきれたように言ったものです。
「徳島の人はよっぽど麺が好きなのね」 なるほど、半田そうめん、御所たらいうどん、祖谷そばと、どれをとっても全国的に名が通 っています。吉野川流域に生まれたこれらの麺は、風土や人々の暮らしを映して、どれも個性的。徳島の人々が「麺喰い(めんくい)」なのは当然と言えば当然なのです。

麺喰い、大いに結構! 近年めきめき名を上げつつある徳島ラーメンも含め、吉野川流域の「麺喰いな人々」を訪ねました。

 
半田そうめん
■太さとコシの強さはまさに天下一品。
■豊かな自然が育て上げた個性派麺 。


徳島県西部、吉野川中流域に位 置する半田町は、全国的に有名なそうめんの産地です。 この町で作られる「半田そうめん」は、そうめんとは思えないほどの太さとコシの強さが特徴です。

前田広文さん(半田町手延素麺産地協議会会長)に、半田そうめんの歴史と美味しさの秘密を伺いました。

半田そうめんの発祥は天保時代初期、吉野川を運行する平田船の船頭さんが伝えたといわれています。
良質の小麦、吉野川の豊富な伏流水、何より山に囲まれた気候風土が半田そうめんを育みました。
剣山から吹きおろす冬の寒風がそうめんを白く美味しくします。湿度が外ににげないので、じっくりと熟成しながら乾かすことができるのです。

現在半田町には40戸の製麺業者がいます。
職人達は気温や湿度によって、小麦粉、塩、水の練り込み具合、麺の延ばし具合を調節します。 経験とカンがものを言う作業。 機械化が進んだ今も、水と、風と、人の手が美味しいそうめんを作るのです。

徳島中華そば
■あれよあれよという間に知名度は全国区。
■ブームの仕掛人の一人が諏訪さんです。
 

横浜ラーメン博物館への出店がきっかけとなり、
ここ1〜2年ですっかり全国的人気を得た「徳島ラーメン」。徳島では、「中華そば」と呼ばれ、甘みとコクのあるしっかりした味のスープ、甘辛く煮込んだ豚バラ肉や生卵をトッピングする店が多いのが特徴です。

自他共に認める面喰いの諏訪敏夫さんは、「徳島ラーメン」ブームの仕掛け人の一人です。 事の起こりは平成10年秋。 当時流行っていた和歌山ラーメンに、「徳島中華そばの方がうまいわ!」と挑戦状をたたきつけ、美味しさを広く知ってもらうために、インターネットでPRしようと思いついたのです。 「美味しい中華そばを食べに来てもらって、徳島のことももっと知ってもらおう」−そんな思いもこめて、ホームページは、四国霊場八十八ヶ所にちなんだ「阿波・徳島中華そば八十八ヶ所」という形に。 凝りに凝ったホームページは反響も大きく、今も全国の麺喰い達からのアクセスが絶えません。

徳島中華そば八十八ヶ所
http://www4.justnet.ne.jp/~akikawa/index88.html

諏訪さんが草案し、3人の仲間がデータ処理やページ作成をしたホームページ「阿波・徳島中華そば八十八ヶ所」は、なかなかの力作です。

県下の美味しい中華そば店八十八店のリスト、投稿者によるランキング、情報掲示板のコーナー、そして巡杯する際の納麺帳まであります。

中でも、メインの八十八ヶ所巡りリストは、諏訪さんが一軒一軒食べ歩いたというだけあって、見応えあり! 本家の四国霊場八十八ヶ所を模して、一念発起から結願まで、また「味の関所」や「素材の関所」などの巡杯関所や、別 院まで設けるという凝りようです。もちろん、各店の住所、連絡先、営業時間、メニューなどのデータ、諏訪さんによる寸評も添えられています。

八十八軒にしぼり込むためには、もちろん、それ以上食べ歩いているわけです。「県下を100軒以上回ったな。とにかく毎日中華そばを食べよった。日曜日は6軒以上回ったこともある」と、さすがに麺喰い、楽しそうに苦労談を聞かせたくれました。

 
御所たらいうどん
■そもそも たらいうどんは・・・

かつて林業が盛んだった宮川内地方で、人夫たちをもてなすために生まれたものです。
もともとはゆでた釜を囲んで食べていたのが、釜から木製の飯盆に移して食べるようになりました。
昭和6年、当時の県知事・土井通次氏が土成町を訪れた時、この飯盆に盛られたうどんを食べて帰り、「たらいのような器に入ったうどんを食べてうまかった」と語ったことから、いつしか「御所のたらいうどん」と呼ばれるようになったとか。

 
■自分で打つのもまた一興。ゆでたてを大勢で囲む豪快な麺

打ちたて、ゆでたてをたらいにザンブ!と移して、すぐさま大勢で囲んで食べる。これがたらいうどんの一番正しい食べ方です。それが自分の手で、額に汗して打ったうどんなら、なおさらおいしいはず。ここ、土成町の道の駅「もてなしの館」では、そんな体験ができます。

この日は、京都から「麺ロードの旅」にやってきた8人が、この道55年の名人・坂野明さんの指導のもと、「手打ちうどん体験コーナー」にチャレンジ。 奮闘の様子をのぞいてみました。

まず、打つ。
一晩寝かせておいた生地を手でおし延ばしてから、麺棒で均一に薄く延ばします。

次に、切る。 太さをそろえて切るのがコツです。
みんな順番に挑戦するのですが、名人のようにはいきません。 厚みも幅もバラバラ・・・。

そして、ゆでる。 たっぶりのお湯で、差し水せずに約10分間。
ゆであがったら、水洗いせずにゆで汁ごとそのままたらいに移します。

いよいよ、食す。 みんなでたらいを囲んで試食です。
きしめんみたいなのも、そうめんみたいなのもありますが、これも手打ちの醍醐味ではないでしょうか。 だし汁は「じんぞく」というハゼ科の小魚を使ったこの地方独特のもの。 濃いめに味付けしただし汁に、めんをつけていただきます。

自分で打ったうどんの味はまた格別。
 
■京都の麺喰いたちも「むっちゃおいしい!」 とご満悦でした。

「手打ちうどん体験」の料金は1玉 (4人分位)1,300円。
所要時間は約2時間で、試食する場合は1人300円
プラスになります。
2日前までに電話で予約を。

《問》道の駅「もてなしの館」 電話088(695)5405
《営》午前10時〜午後5時30分 木曜日定休
暮らしの中の湧水 -眉山湧水群巡り-
徳島市の中心部に位 置する眉山周辺には数多くの湧水があり、古くから地域の人々の暮らしの水として親しまれてきました。江戸時代には、この眉山の湧水を大八車に積んで売り歩く「水売り」が徳島城下のあちこちにおり、人々はこれを買って飲み水にしていたそうです。
大正期に水道が整備され、次第に水売りの姿も消えていきましたが、地域の人々によって、今も湧水は大切に保全されています。

■錦竜水 (きんりょうすい)
言わずと知れた名水。
眉山町大滝山の地下水を水源とし、カルシウム、マグネウムなどミネラルを豊富に含み、まろやかな味がします。 藩政時代には蜂須賀公御用達の水として水番所が置かれ保護されたほど。
昭和62年に「名水阿波錦竜水保存会」の手で復活され、瓦葺きの風情ある水飲み場が整備されてからというもの、近隣はもとより県外からも、もらい水に訪れる人が跡を絶ちません。
 
■桐の水 (きりのみず)
桜の名所で知られる西部公園内にあり、公園で憩う人々の喉を潤しています。
平成3年、地滑り対策水抜き工事の際に発見され、かつて蜂須賀公にお茶の水として重宝されたという「桐の水」にちなんで命名されました。
眉山湧水群の中で一番標高の高い所にあります。
 
■春日水 (かすがすい)
春日神社の鳥居をくぐると、左手に手水鉢が。
竜の口から「春日水」がちょろちょろと流れ込んでいます。 水量は少ないですが、参拝者の手や口を清める大切な水。
味もよく、春日水を調理に使っているという神社横の焼き餅屋さん曰く「甘みがあり、お茶に使うと味が違う」とか。
 
■鳳翔水 (ほうしょうすい)
東山手町の瑞巌寺は、参道沿いのせせらぎ、手水鉢、池など境内の至る所に「鳳翔水」が流されています。 庭園の遊歩道を登っていくと、水の源である手洗い場にたどりつきます。
ミネラル分が豊かでまろやかな口当たり。この水でたてるお茶の味は格別 だとか。
すぐ前の新町小学校横の水路にも鳳翔水を流しており、景観に潤いを与えています。
 
■青竜水 (せいりゅうすい)
椎宮八幡神社から、眉山の山肌に沿って登ること二分。
快神社社務所内に青銅の竜の口から湧き出る「誓竜水」があります。
標高が高いため、日なたにありながら夏なお冷たく、とても甘やかな口当たり。
コーヒーや水割りに、また、この水でご飯を炊くとおいしいと評判で、県外から水を求めて訪れる人も多いとか。
 
■雲竜水 (うんりゅうすい)
ツツジの名所として有名な南佐古七番町の椎宮八幡神社内。 鳥居のわきに青石を組み合わせた水飲み場があり、涼やかな音をたてて流れ落ちています。 この水は地滑り対策水抜き工事の際に掘りあてたものだそうで、平成5年に徳島市によって整備されました。 参拝者や散歩に訪れる人々のオアシスとなっています。
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